はやいもので、3月を迎えました。
すこしづつ寒さもやわらぎ、春の香りが漂う今日この頃。
3月は、来年度に向けてお忙しい方も多いかもしれません。
そのような日々でも、四季の香りに身を寄せる時間をとり、ご自身と対話する時間をつくってみませんか?
今月の香りは、『桜』
桜の開花は、3月の下旬ごろでしょうか。
各地をうすいピンク色で包み込みます。
たとえ一本の桜でも、庭を彩る。木々が並べば、豪華で盛大な春に。
厳しい冬を乗り越え、美しい情景が春の到来を告げます。
「百花春至為誰開」
「百花春至為誰開」(ひゃっかはるにいたってたがためにかひらく)という禅語はご存知でしょうか。
禅の『碧巌録』第五則「雪峰尽大地」の公案の頌にある言葉です。
この言葉の意味
花は誰のためでもなく、ただ無心に咲くだけ。ここでいう無心とは、心が無いということではなく、ありのまま、自然のままの状態を指します。花は無心に咲くことで、自分自身を生きると共に、他をも活かす。
桜というものは、季節がやってくれば、花が咲き、花が散り、新緑の季節を迎え、葉を落とし厳しい冬の季節を何も言わずに耐え忍ぶ。そして、また、暖かい春がやってくれば、見事に花を咲かせます。
たとえ、人間に「昨年は、イマイチだったね」などと言われても、ただただ咲く。
やめてしまおう。去年いじわるなことを言われたから、今年は咲かない。
自信を失ったり、卑屈になったりせず、ただただ、桜であることをまっとうする。
このような姿勢は、桜にとっては当たり前のことです。
しかし、わたしたち人間はどうでしょうか。当たり前に続けるべきことでも、感情に振り回されて思うように実行できないこともあるかもしれません。森羅万象の営み、本質的で当たり前の姿から学ぶことが非常に多いですね。
ひと月、ひと香(ひとつき、ひとこう)
毎月ひとつ。
季節の香りをお手に取り、今を感じる。
先月の自分
今月の自分
いま、何を思うのか。
やることが多いと、どうしても外に意識が向きやすいものです。
月に一回でも、この香りを手に取った時は、
あなたがご自身に集中できることを願って。
今月は、桜の香りをお届けします。
桜の印香-香りと愉しみ方
こちらの印香は、華やかな桜の香り。
印香は、約1ヶ月ほどほんのり香りが続くので、お皿の上に飾っても素敵です。
毎月のご自身と向き合う時間として。
香台にのせ、火を灯し、
立ち昇る煙とともに雑念を浄化。
新たな気持ちで、また今日を生きる。
ひと息ついて、香りに身をゆだねる私だけの時間
毎月ひとつの香りと向き合う時間は、
ほんの5分、10分かもしれません。
しかし、ほんの短い時間であっても、
ご自身と静かに向き合う貴重な「ひととき」というものは、
人生においてかけがえのない時間ではないでしょうか?